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交通課題×イノベーション 自動運転

自動運転実証に関する連携協定締結

自動運転実証に関する連携協定締結

 八頭町とSBドライブ株式会社(本社:東京都)は、5月23日に郡家駅コミュニティ施設「ぷらっとぴあ・やず」において林昭男県副知事及び谷本正敏町議会議長の立会いのと、自動運転実証に関する連携協定を締結しました。

自治体と共同で進める同社の自動運転事業化に向けた研究・開発の連携協定は、北九州市に次いで2例目となります。
 八頭町においては、現在、ソフトバンクのグループ会社であるSBヒューマンキャピタル株式会社(本社:東京都)と協力のうえ、空き施設を活用してサテライトオフィス等を誘致し、新たなまちを創設する「隼Lab.」の取り組みを進めているところですが、ソフトバンクグループ内で自動運転の事業化に向けたプロジェクトが進められており、実証に向けて前向きに協議・検討を重ね、このたびの協定締結に至ったものです。
 八頭町では、2009年度から町営バスの「さんさんバス」を運行している。しかし、ドライバーの高齢化や運行経費の削減が課題になっている。このような過疎地ならではの交通問題に対応するため、今回のSBドライブと八頭町の連携協定では、2020年に向けてバスの自動運転化を目指すというのだ。法的整備等が整ったところで本格的な事業運営が可能となるよう実験を進めていく。

 SBドライブ株式会社の佐治友基代表取締役社長は、住民ニーズや公共交通網に関する調査研究を行うとともに、町営バス路線等での自動運転実証を通して安全性や住民が使い やすい仕組みの検証などを行い、町営バス路線等で実証を検討。SBドライブの佐治友基社長は「いきいきと生活するためには移動の自由が必要。運転のできない子どもや高齢者も自由に移動できれば、が賑わい経済的にも豊かになる。安全、簡単、安価に移動できる手段を提供したい。平成30年以降の実用化を目標に実証事業を進めたい」と抱負を語られました。

 地域の高齢化が進む中、高齢者等の移動手段として町営バスの運営を行っていますが、より利便性の高い地域の公共交通の確保が望まれる一方で、地域交通を支えるバス路線の運営については、運営費負担の増加、運転手の高齢化・人手不足などの課題があり、今後もより深刻化が懸念されています。
 吉田英人町長は、「この自動運転の取り組みが、交通課題の解決につながるとともに、観光面への波及効果など地域活性化にもつながるものとして期待している」と話していました。

 今後の実証実験では、まず住民にヒアリングをしてニーズを見極めながら、バス走行環境の研究調査を始める。懸念点となる安全性については「いくつもの安全策を巡らせる」(佐治社長)計画だ。
 最初は私有地から走行実験を始め、公道に出てからも交通量が少ない場所や夜間など、場所を選びながら実証を進めていく。その際にも時速10km以下のゆっくりしたスピードから始め、さまざまな天候条件下で調査し、徐々にスピードを上げていくという。
 ドライバーについても同様だ。最初は有人運転の補助システムとして自動運転を同時に扱い、次に手放し運転、最後に無人運転と、徐々に自動化レベルをアップさせる。
 佐治社長は「トラブルや事故を想定し、既存の交通事業者からアドバイスをいただきながら、最適な安全管理の仕組みづくりをしていきたい」とバス会社をはじめとする公共交通事業者との連携にも取り組んでいく姿勢を見せた。
 今回の実証実験はルートの決まった運行バスから始まるが、「徐々に行ける場所を増やし、最終的にはどこでも行ける自動運転車を実現していきたい」(佐治社長)。その際にも、タクシー迎車ボタンを用意するなど、ユーザビリティを高めた仕組みづくりを目指すという。
人口1万7千人の八頭町とSBドライブが、今回の実証実験を通して、自動運転技術を街にどう溶けこませ、人々の暮らしを、どのようにしてよりよく変えていくのか注目である。